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優秀な人材を獲得する上での行動面接の有用性

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成功している企業のことを話すとき、私たちはその企業の製品やマーケティング・ブランディング戦略、財務実績に焦点を置きがちです。 これらのエリアで優れた結果を残すことが成功の指標であることは当然ですが、外向きの評価基準だけを見ていたのでは、全体像をつかむことはできません。 成功している企業は、最初からトップにいたわけではありません。そこにたどり着くために、どのような道のりを歩んだか。成功の鍵はそこにあります。

ビジネスの成功を測る最も確実な指標
『Harvard Business Review』誌は、数ある競合他社を退け、トップの座をつかんだ企業には1つの共通点があるといいます。それは「優秀な人材の密集度の高さ」です。 企業がどれだけ成長できるかは、人材プールの厚みにかかっています。優秀な従業員と経営陣を抱える企業が前述のエリアで優れた成果を達成するのは当然のことです。

HBRでは従業員の全体的なスキルレベルを測定する手段として、人的資本の生産性(Human Capital Productivity:HCP)という指標を使用しており、 HCPが高いほど財務実績が良いという相関関係が強く認められたと報告しています。 ビジネスの成功には従業員のスキルレベル以外にもさまざまな要因が関係しているのは明らかですが、すべての職務エリアで期待された成果を挙げられる優秀な人材の密集度が、その企業がトップに昇りつめるか、最下位に沈むかどうかを決定する最も確実な予測因子であることに変わりはありません。

問題は、そうした優秀な人材をいかに見つけるかです。

行動面接を取り入れたGoogleの採用活動

競合他社よりも成功する企業があるように、応募者の中には他よりも頭ひとつ抜きん出ている人がいます。 企業が厳しい市場競争に勝つには、そうした人材をできるだけ多く獲得しなければなりません。

Googleが有名なのにはさまざまな理由がありますが、なかでも特筆すべきなのが「精査」に対する異常なまでのこだわりです。 Googleの事業において、徹底的に分析・微調整されていない要素はなく、この完璧へのこだわりが明確な成果として現れています。 そんなGoogleが数年前、採用プロセスの見直しを行ったところ、経営陣も驚く事実が判明しました。

これについて、Googleピープル・オペレーションズ(人事)担当副社長であるラズロ・ボック氏は『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューで「Googleの採用プロセスを解析するにあたり、ビッグデータ解析を採用した」とし、 「何千、何万という過去の面接を見直し、面接時の応募者の言動や態度と入社後の活躍ぶりを比較調査したところ、面接のスコアと業績に因果関係がないことが判明した」と述べています。

優秀な人材を見極める手段としての行動面接の有用性

募集ポジションに最適な候補者を選定するための体系的な方法は存在しないという結論は、ボック氏にとって不満の残るものでした。 そこで、今度は面接の進め方に着目した同氏。そこでわかったのは、Googleの面接プロセスのほとんどは時間の無駄であり、 面接の過半数を占めていた超難問で入社後の活躍を予測することは不可能である、ということでした。

幸いなことに、ボック氏はより優秀な人材を見分けることができる面接テクニックにたどり着きました。それが行動面接です。 この手法では、面接官は手当たり次第に質問をするのではなく、一貫した採点基準表(ルーブリック)に沿って候補者の長所や能力を評価することができます。

行動面接は、プロセス自体は単純ですが、非常に深く掘り下げられることで知られています。 具体的には、面接官は候補者に過去の経験や行動について質問します。 ここで鍵となるのは、候補者の実際のスキルと、問題を解決するためにそのスキルを活用した具体的な実例を聞き出すことです。 こうすることで、Googleのボック氏が気づいたように、現実にはほぼ役に立たない仮説に依存することなく、候補者の実力を見極めることができます。

「行動面接の興味深い点は、各人の経験について尋ね、掘り下げていくと、2種類の情報が手に入るということです。 1つ目はその人物が現実の状況でどのように行動するかという予測、そして2つ目はその人物が何を困難に思うかという貴重なメタ情報です」とボック氏は話します。
この面接テクニックを導入すれば、候補者の経験を深く掘り下げ、誰が本当に優れた能力を持っているか見極めることが可能になります。 「過去の行動は未来の行動を予測する」という言葉のとおり、行動面接は最もふさわしい人材を獲得したい企業にとっての水晶球になるかもしれません。