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カウンターオファーへの適切な対応

転職を決意し、新たなステージへと踏み出したあなた。 新しい雇用契約書を交わし、勤務開始日も決まりました。今の職場には断腸の思いで退職届を出したところです。 次の職場への期待に胸を膨らませるとともに、転職にまつわる重労働を終えて安堵してもいるでしょう。 ところが、そこへ突然、上司からカウンターオファーが持ちかけられました。まさに青天の霹靂。こんなとき、どうすればよいのでしょうか。

離職を食い止めようとするカウンターオファーは、ときに非常に魅力的ですし、また大抵は気分の良いものです。 会社があなたを高く評価してくれている。あなたをどうしても手放したくないと言っている。 管理職があなたの大きな功績を称え、まさかと思うような高給を約束してくれている。 そのような状況は、慎重な検討を要するのが常です。カウンターオファーは大概、当初受ける印象ほどうまい話ではありません。

カウンターオファーの概要と典型例

ここでいうカウンターオファーとは、他の職場での新たな雇用が決まったあなたに今の会社に残る気を起こさせるため、現職の雇用主が提示してくる新たな条件のことです。 決して珍しいことではありませんので、いざそのような状況に直面する前に、可能性に備えておきましょう。 まず基本的に、カウンターオファーには2通りの形態があります。1つは金銭面、もう1つは心理面に焦点を絞ったものです。

金銭的アプローチ:社外に新たな職を得たことを伝え、退職届を提出したあなたに、雇用主が給与の増額を約束するケースです。 転職先となる職場の報酬条件を雇用主が知っていれば、それと同等またはさらに上の条件を出してくることもありますし、あなたが離職の意思を翻すのに必要な金額を推測して提示するだけの場合もあります。

心理的アプローチ:あなたの忠誠心に訴え、心の琴線に触れるような手強いものであることがほとんどです。 正式な条件の提示ではなく、会社にとってのあなたの価値を何度も強調するような形を取り、場合によっては将来的な高待遇の提案や約束を含みます。 雇用主はあなたを引き止めようとして、物事はいずれ良い方向に向かうものだという主張や、新たなリソースを見つけてやるという再度の約束、できるだけ早く昇進させてやるという合意のほか、あるプロジェクトが完了するまでチームに残ってくれという懇願など、あなたの誠意に訴えかける手段を取る可能性があります。

ジレンマ

金銭的なものにせよ心理的なものにせよ、これらのオファーはあなたに選択を考え直させる効果を持つに違いありません。 現職に留まった場合、キャリア目標や希望の給与レベルを達成することはできるのか。 気心の知れた仲間に囲まれてこのまま今の場所にいてもよいのに、なぜ敢えて辞める必要があるのか。 こんな大事なときにチームを見放すことが果たして許されるのだろうか…。 しかし、そんな思考は今すぐ捨ててください。 そのような比較検討を試みる前に、カウンターオファーには深刻な問題が存在することをまず考慮しなければなりません。

金銭的メリット:
上司が新しい給与金額を提示してくるのは、あなたが飛び抜けて優れていることだけが理由ではありません。甘い蜜を吸わせてあなたを引き止めておけば、会社にとっても経済的なメリットが生まれるからです。 新入社員の採用や研修にかかるコストと労力は生半可ではなく、昇給措置であなたをキープする方が圧倒的に安く済む可能性もあるのです。 あなたのパフォーマンスに対して賃金が安すぎることを、会社がなぜ今さら認めるのか。直近の昇格や人事考課においては一体なぜ評価されなかったのかという疑問が湧きませんか。 考えてみてください。あなたが転職先に選んだ新しい雇用主は、最初からあなたの価値を認め、それを反映する待遇に合意しています。 彼らは、決してコスト削減のための後知恵などではなく、あなたの素晴らしさを評価してくれています。 現在の雇用主が本当にあなたという人材を維持したいと思っているなら、あなたが他の雇用機会を求め始める前になぜ予防措置を取らなかったのでしょう。 実際には、いずれ行われるはずだった昇給が前倒しされただけなのではありませんか。

心理的要素:
誰かに必要とされ、頼られるのはもちろん気分の良いことに決まっていますが、残念ながらあなたは、代わりが利く存在です。 今の雇用主が本当にあなたの代わりを見つけられないのであれば、離職を決意して初めてそれに気づくというのはおかしいのではないでしょうか。 ここで残留を選択すれば、あなたの信用は永久に損なわれたままになりますし、そもそも辞めようとしたことによって忠誠心の不足を証明してしまったも同然です。 これでは、管理職に対してのみならず身近な同僚たちに対しても、あなたの立場が傷つきかねません。 あなたの気持ちがすでに外を向いていると知ったら、同僚たちはどう感じるでしょうか。 結局のところ、転職の決断はあなた次第であり、プロジェクトや所属チーム、上司に左右されるべきではありません。 そもそもなぜ自分が他の仕事を探し始めたのかを思い出し、その理由が果たして解消されたのかどうか、考えてみてください。

決してうまくいかない。それがカウンターオファーの現実

カウンターオファーが長期的に見て成功を収めた例は、極めてまれです。 魅力的なオファーを承諾したにもかかわらず、結局6~12か月以内に離職することになるかもしれません。 辞めたいと思った当初の理由が再度表面化してあなたが自ら退く可能性もあるでしょうし、残留へとあなたを説得した会社の方から雇用を打ち切られないとも限らないのです。
 
重要ポイント
決して最終目標を見失わない。 そもそもなぜ辞めようと思ったのかを忘れないでください。 理由を書き出しておき、プレッシャーや迷いを感じたときにはそれを読み返しましょう。

決して感情に流されない。 これはあなたのキャリアに関するビジネス上の判断であり、新しい旅立ちを意味するものです。 罪悪感や周囲からの非難、説得に選択を左右されてはなりません。 あくまで職業人として振る舞い、状況を自らコントロールしましょう。

必ず書面で明確に意思表明し、ビジネスマナーを守って冷静に離職プロセスを踏む。 堂々と退職届を提出し、疑問の余地を残さないことにより、無用なトラブルを避けることができます。