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素晴らしい職場の条件

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「素晴らしい職場」に必要なのは、日々無料で振る舞われるコーヒーや軽食のような従業員特典でしょうか。 それとも、従業員が各自の思いのままに行動できるような放任主義の管理体制でしょうか。 はたまた、地域で最も高い給与でしょうか。

その答えは、個人の価値観にある程度左右されますし、雇用主に何を求めるかによって変わります。

各種特典と給与、そして個人の幸福感
従業員特典は、会社が従業員を大切にしてくれている証拠であるように思えてしまうかもしれませんが、 実際には根本的な問題を表面的に取り繕う手段として使われているかもしれません。 いかにもおしゃれな職場はクライアントや新入社員に好印象を与えるかもしれませんが、高級な家具や最先端のテクノロジーをいくら取りそろえたところで、目を引くのは最初のうちだけ。いずれは日々の仕事の陰に埋もれてしまうものです。

上司が過剰に干渉してくるマイクロマネジメントに苦労した経験がある方は、管理者の目があまり届かないような職場に魅力を感じるかもしれません。しかしその場合、同僚との間で問題が起きたり、プロジェクトが難航したら誰に助けを求めればよいのでしょうか。

企業の従業員にとっては報酬や公私のバランスといった側面も大事ですが、給与が上がるほど仕事に対する満足度も高まるものでしょうか。 給与と仕事に対する満足度の関係を考察したある論文によると、必ずしもそうではないようです。

さまざまな調査の結果を見ると、お金は確かにものを言いますが、あくまで1つの判断材料でしかないことがわかります。 プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授いわく、「お金で幸せが買えるというよりは、お金の不足が不幸を呼ぶのです」。つまり、収入も大事ですが、自分を惨めな気持ちにさせる事柄を埋め合わせてくれるほどではないということです。

公私のバランスについても同じことが言えます。マネジメントの専門家であるエリカ・アンダーソン氏は、何が健全なバランスを生むかは明確にルール化できるようなものではないと語ります。 むしろ、個人がどのような状態を自らの公私の良好なバランスとみなすかで決まるのです。 たとえば、「皆が進んで規律を守り、日中はチームで生き生きと働き、夜は家に帰ってくつろぐ、というように、仕事と私生活を明確に分ける文化を持った会社は素晴らしい職場かもしれません」。しかし、仕事こそが生きる目的、というタイプの人にとってはどうでしょう。「そこで働けば誰もが幸せになれるというわけではありません」と、アンダーソン氏は述べています。

どのような会社が働きやすい職場であるかは、環境や与えられる特典そのものよりも個人の価値観に左右されます。 毎日嫌いな同僚と顔を突き合わせ、生返事ばかりの上司と渡り合っていかなければならないとしたら、いくらオフィスの外観が美しくても、多くの特典がばらまかれても、何の意味もありません。

コミュニティ:第六感
ところで、職場の仲間がそれほど重要な存在となるのはなぜでしょうか。 単純に言えば、職場というのは1つのコミュニティであり、価値観や原則を共有する社会的単位だからです。 自分と考え方が似ており、共通の目標を掲げている人々と行動をともにするのは心地よいものです。 それによって「コミュニティ感覚」(社会心理学者であるデービッド・マクミラン氏とデービッド・チャビス氏が1986年に唱えた造語)が生まれるのです。 この両名は、コミュニティ感覚を生み出す源泉として以下の4点を挙げています。

1. メンバーシップ:グループに対する帰属意識や、他のメンバーに共感できるという感覚
2. 影響力:自分がコミュニティのメンバーとして取る行動が自分自身とグループの両方に価値をもたらすという感覚
3. 統合とニーズの充足:グループへの参加によって得られると期待したものが得られているという感覚
4. 情緒的結合の共有:長期間にわたって全員が運命をともにするのだという意識、ならびに将来的な課題に対処する準備ができているという感覚

これまでに職場でコミュニティ感覚を抱いたことがない方でも、何か他の活動を通じて経験したことはあるかもしれません。 スポーツチームに所属していた方は、仲間意識を感じた記憶をお持ちなのではないでしょうか。 学生時代に覚えた暖かな高揚感や、 家族と過ごす年末年始に抱く感覚もそれに近いかもしれません。 どんな場面で感じるものにせよ、コミュニティ感覚とは強く前向きな感覚であり、自分自身よりも大きな存在の一部になりたいと思わせる効果を持っています。

企業が働きやすい職場となるには、自社とその製品、サービスに対して傾けるのと同じ情熱を人材に対しても注ぐ必要があります。 自分の努力が何らかの大義に寄与していると誰もが感じられる場でなければなりません。 従業員は、自らの努力が結果を導いてこそ報われるのです。 また、相互責任が確立されていることも求められますし、 全員がベストを尽くすこと、その過程で互いに切磋琢磨できることも重要な要素です。 つまり、企業もまたコミュニティであってこそ成功を成し遂げられるのです。

それが素晴らしい職場の条件です。